いすゞエルフ:ISUZUこぼれ話 いすゞエルフ:ISUZUこぼれ話

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タロ、ジロを最初に見つけたのは
いすゞの社員だった!? 後篇

2頭の犬はタロとジロの兄弟

いすゞエルフ:タロ、ジロを最初に見つけたのはいすゞの社員だった!? 後篇
国立極地研究所提供「南極新聞」
朗報は「宗谷」で待機していた北村隊員に届けられます。北村隊員は第1次越冬隊の犬係で、15頭の犬を弔う目的で第3次隊に参加していました。一番機が船に戻った時点で2頭の犬は「モク」と「クマ」だと思われており、確認のため昭和基地へ急行します。
基地に降り立つと100mほど先に2頭が。丸々と太り長い毛に覆われて名前は判別できません。駆け寄ろうとする北村隊員の興奮ぶりを見たせいか、犬たちは明らかに警戒していて距離が縮まりません。
恨まれているのも無理はない。恨まれて噛みつかれても仕方がない。でもとにかく抱きしめてやりたいと思いながら、時間をかけ身振り手振りで話しかけてやっと近づくことができました。
「なあ、俺だよ」と声をかけ頭を撫でても尻尾は動きません。「お前
はクマか?」、「それともモクか?」・・・、黒く強かった犬の名前を片っ
端から呼んでみたが反応はありません。最後に何気なく「タロ?」と呼ぶと尻尾がピクッと動いたような気が・・・、「タロなのか?」ともう一度呼ぶと今度ははっきりと尻尾を動かしたのです。「お前はタロか!」、「するとお前はジロ?」と、もう1頭に声をかけると招き猫のように右前足を愛らしくひょいと上げたのです。それはジロの癖で、よく見ると前足に白い毛の部分があるではないか。ジロを確信した瞬間でした。2頭の犬はタロとジロの兄弟で、やがて昔を思い出したかのように尻尾を元気に振り始めました。「あまりの愛おしさに胸にグッと熱いものが込み上げてきました。よくもまあ……あとは言葉にならなかった」北村隊員は著書でそう記しています。

「不死身の男」元海軍大尉、大塚正雄

いすゞエルフ:タロ、ジロを最初に見つけたのはいすゞの社員だった!? 後篇
第1次越冬隊員 大塚正雄(いすゞ社員)
大塚は東京生まれで、開成中学校から海軍兵学校へ進学。卒業して2週間後に太平洋戦争が始まり、戦艦「榛名(はるな)」に乗り組んでマレー沖、ミッドウェー、ガダルカナルなどの激戦を生き抜きました。その後、実戦航空隊への転属、上海航空隊の教官を経て高知航空隊に配置換えとなり、特攻隊として8月17日の出撃が決まっていたのですが、直前の15日に終戦を迎えます。戦後はマグロ漁船の船長などに従事し二回も遭難しますが無事生還。何度も命拾いをし「不死身」を自負することになります。大塚は結婚を機にいすゞ自動車に入社しました。
第1次南極観測隊にいすゞのディーゼルエンジンが採用されたことから、大塚も行きたいとは思ったものの遠い夢と諦めていました。ところが突然人事に呼び出され、「南極へ行く気はないか」との話。大塚は家族に相談することもなくその場で「行きます」と答えました。選ばれた理由は後で知ることになります。事前に隊から「できるだけ危険な経験をしてきた人を」という要望があったからでした。
参考文献:南極観測隊タロジロの真実 北村泰一著
南極観測船「宗谷」航海記 南極OB会編集委員会編
いすゞ自動車資料
出典:「南極新聞」国立極地研究所提供

ライター:吉尾輝昭