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タロ、ジロを最初に見つけたのは
いすゞの社員だった!? 前篇

いすゞエルフ:タロ、ジロを最初に見つけたのはいすゞの社員だった!? 前篇
映画やドラマで何度も描かれてきた南極観測隊とタロ、ジロの物語。鎖に繋がれたまま南極に置き去りにされた樺太犬のうち2頭が生存していた奇跡の物語です。映画での再会シーンは演出によりさまざまですが、ここでは脚色のない実際の経緯をご紹介します。最初の発見者は、実は第1次越冬隊に参加し、第3次南極観測隊として再び南極を訪れたいすゞ自動車の大塚正雄でした。

「あっ! 犬だ」大塚が大声をあげた

第3次南極観測隊は過去の経験から輸送用に大型ヘリコプター2機を導入。隊員は観測船「宗谷」から大型ヘリで基地に向かいます。無人だった基地でまず重要なのは心臓ともいえる発電機を動かすことで、担当の大塚は一番機のヘリに乗り込みました。昭和基地が見え始めるとドアが開け放たれ、誰もが基地の様子を食い入るように見つめました。地上をよく見ると、黒い動物らしいものが目に入りました。その時でした。「あっ! 犬だ」大塚が突然大声をあげたのです。まさかと思って見るとそこには何やら黒い点が二つ。「犬だ、犬だ」「あれは犬だ」大塚が興奮気味に叫ぶと二つの点はいきなり走り始めたのです。それは間違いなく犬だったのです。
着陸してみると、黒い2頭のクマのような大きな犬が前方に。その大きさと迫力に一瞬、皆たじろいだのを覚えています。樺太犬はペットではなく使役犬で体重50kgを超えることもあります。忍耐強く勇敢ですが獰猛な一面もあり、過去には犬同士のケンカを止めに入った隊員が噛まれて何針も縫うケガを負ったこともあったのです。
2頭の犬は様子を伺っていてなかなか近づいて来ません。大塚は腕や足を食いちぎられても仕方がないと決心し犬に近づきました。それは以前置き去りにした隊の一員として申し訳ないという気持ちの表れからでした。ところが2頭とも吠えもしないし後ずさりもしません。それどころかなんと尻尾を少し振りながらこちらに近づいてきてくれたのです。そうです、我々を受け入れてくれたのです。それは居合わせた誰もが目にした実際の感動の再会シーンでした。

次回に続く。
参考文献:南極観測隊タロジロの真実 北村泰一著
南極観測船「宗谷」航海記 南極OB会編集委員会編
いすゞ自動車資料

ライター:吉尾輝昭